理事長挨拶(平成27年新年互礼会)
公開日:2015.01.15
皆さん新年明けましておめでとうございます。
本日は、大阪兵庫生コンクリート工業組合の新年互礼会にご来賓の皆様をはじめ、日頃私どもの工組運営にご協力頂いている皆様方に多数ご臨席賜り誠にありがとうございます。
安倍首相は新年伊勢神宮参拝後の記者会見で「今年も経済を最優先する。アベノミクスの果実を全国津々浦々で味わってもらいたい。」と自信満々に述べました。
経済界もアベノミクス3年目となる今年は、景気回復に手ごたえを感じつつ、成長路線を確実なものとし、不況を脱却するための勝負の年と位置付けるトップの談話が目立ちました。
新年に日経新聞が発表した業界天気図では、セメント・建設業は「薄日」となっています。国土強靭化政策による公共投資が下支えし民間設備投資に期待が持てるためと予想しています。
生コン業界もアベノミクスの第2の矢、すなわち財政政策による公共投資の恩恵を受け需要が伸びたことから、この追い風に乗って価格の引き上げを打ち出し、実績を積み重ねながら、業績を改善しているというのが全国的な趨勢です。
一方 大阪兵庫の生コン業界はどうかというと、需要面では12月に多少の減速感が見られましたが、対前年若干のマイナスで推移すると思われます。
しかしながら、価格面では依然として低迷を続けており、昨年のコストアップ要因(電力料金アップ、セメント・骨材代等の値上げ)を価格転嫁できず、自社負担となっております。
更に今年は電力料金の再値上げが申請されている他、骨材の再値上げが予想され、コスト面ではますます厳しい経営環境が予想されます。
世の中の経済環境と大阪兵庫の生コン業界の実情と余りにもかけ離れた現実に愕然とする思いです。
世の中の動きは非常に早くなっています。大阪兵庫の生コン業界はひとり世の中の動きに取り残されている感は否めません。
アベノミクスは成熟期に入った感があります。需要がまだ期待できる今が、追い風に乗って業界を建て直すことのできるギリギリの処ではないのかなと思っています。
このような中、工業組合は昨年に引き続き、次
1.品質管理監査
2.調査・研究・技術開発
3.舗装コンクリートの普及促進
4.青年部活動の活発化
5.組合員の地位向上のための支援
の5項目について精力的に取り組んでまいりたいと思います。皆様のご協力を宜しくお願いいたします。
1番目の項目、品質管理監査事業でありますが、我々はJISのほかに品質管理監査制度(マル適マーク)により品質を管理しており、工業組合の重要な事業となっております。
われわれは「命を守るコンクリート」「社会資本の充実・整備に欠かせないコンクリート」を安定的に供給する事業ということを社会にアピールし、その重要性が認知されてきておりますが、それだけに、良質な生コンを供給するという責務が今迄以上に要求されています。
昨日東京で行われましたセメント協会の新年互礼会においても、国土交通省からは品質管理について強い要請がありました。
この品質管理監査は、生コン事業に従事し生コン事業を知り尽くした監査員が、他工場を監査するという非情に厳しい監査制度であり、他業界に誇れる監査制度と思います。
当工業組合の品質管理監査につきましては、5年越しの裁判が昨年工業組合の全面勝訴で決着をみました。
当工業組合の監査の中立性・公正性・透明性が証明されたわけであります。この結果を受け、今年は品質管理監査会議の正常化に向けて、自治体の参加を強く要請していくこととしております。
2項目目は調査研究開発事業ですが、舗装コンクリートの調査及び普及促進・回収骨材の有効利用・土木配合暑中コンクリートの調査研究等々6つのWGで精力的に取り組んでまいります。
3項目目の舗装コンクリートの普及促進につきましては、昨年共同受注ガイドブックの研修会を実施し今後の受注活動に万全を期する体制を整えましたが、今年も積極的に宣伝・普及活動に取り組んでいきます。
新年早々、1月10日~12日には、大阪兵庫管内では初めての民間発注物件であります1DAY PAVEの施工を工業組合WGの調査研究開発事業の一環として実施することとしております。
4項目目は青年部活動の活発化であります。昨年来青年部には工業組合事業への具体的貢献を要請しておりましたが、昨年は工業組合WGと一緒にコンクリート舗装の宣伝・普及活動に取り組んでもらいました。本年は更に全生連共同事業委員会の取り組みであります自然災害時の生コン供給体制の検討に取り組んでほしいと要請しております。青年部では昨年末、BCP(事業継続計画)の研修会を開始し、今後も継続的に研修会を予定しております。この研修会の成果を自然災害時の生コン供給体制の検討につなげていくこととしており、今後の活動に期待している処です。
5項目目の組合員の地位向上のための支援ですが、これは最重要案件であります。
皆さんご承知の通り現在の大阪中心部の生コン業界は、3協組とその他アウトの4局体制でいまだ低迷しております。また、この状況が近隣の協組にも多大な影響を及ぼしております。
同一地域内に3協組鼎立という状況は、全国で大阪・兵庫地区だけです。
本年は昨年に引き続き電気料金再値上げ申請・骨材代値上げ要請と矢継ぎ早にコストアップ要因が発生することが予想されております。
全国的に生コン価格の値上げ実績が積みあがっている中、大阪・兵庫地区では、3協組鼎立の状況下にそれを価格転嫁出来ない状況がつづいており、原価割れの生コンが出荷されているとの報告もきいております。品質面への影響を大変危惧しているところです。
当工業組合は、低迷している業界の再建にむけての提案を、一昨年来行ってまいりました。すなわち3協組の統合の提案ですが、諦めることなく本年も継続して精力的に調整に努力して行きたいと思って居ります。
生コン業界は、ローカルであり、中小企業の集まりであります。我々が利害関係者と対等に取引関係を構築するためには、大きな集団の力がどうしても必要となります。
今年のテーマは「節目の年」ということです。節目の年ということは過去の何年かを振り返り、総括して今後の方針を打ち出す年ということです。
戦後70年安倍首相は、70年を総括し今後日本が世界平和にどのように貢献していくかについて、談話を発表すると宣言しました。
阪神・淡路大震災から20年、兵庫県知事は「復旧・復興は終わった。今後は自然災害に備える街造りを行っていきたい。」とコメントしました。
大阪中心部の生コン業界も広域協が発足し8割~9割の纏まりを見せ、結束した時から20年、節目の年にしたいと思っています。
この20年を総括し、協同組合の原点に立ち返って新たなスタートを切る年にしたいと思っています。
姫路の圓教寺の住職は今年を象徴する漢字を「節」と書き、節目の年という意味と節度ある行動をと諭しました。
また、本年は羊年です。羊は群れをなす動物ということで、家族の安泰・平和を象徴する年といわれています。羊年にちなんでみんな仲良く集まれればいいなと思っています。羊年を迎える昨年末のNHK紅白歌合戦のテーマは「全員参加で」でした。
「節目の年」「節度ある行動」「みんな集まって」「全員参加で」これらのキーワードはまさに、いまの大阪兵庫生コン業界へのメッセージと感じました。
みんなで集まり、過去20年を総括し今後の大阪兵庫の生コン業界をどうするのか、全員参加で取り組んでいく1年にしたいと思っています。
悠長にかまえている時間はありません。皆さんは総論賛成なはずです。
いまこそ、我々一人ひとりが傍観することなく、業界のために自分にできることはなにかを考え、行動に移すときです。そのエネルギーが大きなうねりとなり、再編・再建の途を拓くことになると思います。
本年はまさに「和して拓く」の実践の年にしたいと思っております。
昨年に引き続き、本年も新年早々、厳しい話になってしまいました。本日ご臨席のご来賓の方々、関連団体の方々には、大阪・兵庫生コン業界の苦境をご理解いただき、ご支援方宜しくお願い申しあげます。
最後になりますが、本日ご臨席の皆様の社業の繁栄とご多幸を祈念申しあげまして、年頭の挨拶といたします。
本年も、宜しくお願い申し上げます。
(平成27年1月9日新年互礼会)
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